ティール組織はサイボウズが目指す組織の形なので以前から存在は知っていました。しかし、ティール組織の本は500ページを超える本でなかなかハードルが高いと感じていました。
私が所属するチームで「チーム間の情報の共有がうまくいっていないのではないか」という課題が出ました。「 情報が共有されるのを待っているのではなく、各メンバーが自分から情報を取りに行く意識を持つ必要があるのではないか。これは青野さん(社長)がティール組織の話をするときに自立したチームに必要だと言っていた気がする。」という意見が挙がりました。
そこでティール組織について学ぶことでヒントが得られるのではないか」という意見がでました。最初はイラスト版がオススメという意見もあり、会社の本棚にあった本書を借りて読んでみました。
以下、読書メモです。
従来の組織の形とティール組織型
ティール型の組織を知る前に従来の組織の形について説明がされていました。簡単に説明すると、以下のような形です。
- レッド(衝動型): 最初に登場した組織の形です。仕事の分業、トップダウン型といった特徴があります。力の強いものに従い行動する組織です。狼の群れのような組織です。
- アンバー(順応型): 反復可能な同じ手続き、安定した組織図といった特徴があります。決められた役割、プロセスに従って決定がされるため安定はしていますが、変化がないことが前提になっているため世界の変化への適用が難しいです。軍隊のような組織です。
- オレンジ(達成型): この型の特徴は、革新主義、説明責任、実力主義です。このオレンジ型に2つの影があります。1つは「変革を求めすぎ」もう1つは「成功がお金と名誉に関してだけに限定されてしまったこと」です。機械のような組織です。
- グリーン(多言型): オレンジ型の問題に気づいた人々は、人々は平等でありあらゆる声に耳を傾けなければならないと考えました。権限の委譲、価値駆動の文化、ステークホルダーの価値観を活かす、といった特徴があります。家族のようなそしきです。とはいえ、権限の委譲は小さな組織にとっては難しいです。権限を委譲するだけでは多くの場合、失敗します。サーバント・リーダーの育成・強化が欠かせません。
このように組織は段階的に進化するという説明はわかりやすいのですが、必ずしも100%アンバー型、100%グリーン型ということはありません。例えばアンバー型の組織は順応な人の割合が多いだけで、全員がそうではないのです。組織はより新しい段階に行くにつれてより複雑な展望を持つことになります。
では次世代の組織と呼ばれるティール組織にはどのような特徴があるのでしょうか。
ティール組織
ティール組織は進化型と呼ばれる以下の特徴がある世界観を持つ組織の形です。ティール組織は3つのブレークスルーをもたらすと本には書かれています。
- セルフマネジメント(自己管理)
- ホールネス(全体性)
- 常に進化する目的
セルフマネジメント(自己管理)
権限の委譲や自主性が重要だと読み取れました。 意思決定プロセスに関してはトップダウンではなく助言プロセスで行います。決定権を誰もが持つことができるが、「決定」に関する人に助言を求めます。ある問題や可能性に関心のある人は誰でも参加できます。ヒエラルキーの差はなく、承認もなく、上司への同意を得る必要もありません。自分の仕事に関わることは積極的に自分から進めていきます。もし決定が重要なものであれば関わる人に問い合わせたり、会議を設定して助言を得ようとします。
上記のような助言プロセスではなく承認やヒエラルキーのあるプロセスの場合、以下のようなプロセスで進むかもしれません。以下はある人事部長が残業時間の変更について変更を決定したときのプロセス例です。
「CEOから人事部長に提案を依頼」
→「提案の草案を部下に依頼」
→「人事部長が草案をチェック」
→「会議を行う」
→「草案を練り直す」
→「会議を行う」
→「草案をブラッシュアップ」
→「他の部長へのプレゼン」
→「各部長が部下へ知らせる」
プロセスが多いですね。助言プロセスは意思決定者が自主的に助言を得て決めるのでプロセスはかなり省略できます。
この自主性については、今回私がこの本を読むきっかけになった「自分から情報を取りに行く意識を持つ必要がある」と似ているのではないでしょうか。
情報は共有されるためにステップがあれば、情報伝達はかなり遅くなります。たとえば部長がいたとして、
「部長への報告書を考える」
→「部長への報告内容の確認を行う」
→「部長への報告を行う」
→「部長から他のメンバーに共有」
といったステップです。
私は以前大企業での仕事をしていてまさにこのようなステップを踏んでいました。もっと言えば子会社に所属していたので、親会社への報告はさらに「部長から親会社への報告」などのプロセスを踏むこともありました。(※すべての大企業がそうではない)
とても非効率でした。
今所属しているチームはマネージャーも存在しておらず、非効率なプロセスがないのですが、その分チームに自主性が求められます。
そのため、情報共有プロセスはとくに定められていません。チームが情報を得る方も共有するのも自主的に行う必要があります。
この考えはティール組織の考えに近いと感じます。
私のチームはフロントエンド開発に特化したプロダクト横断チームで、プロダクト開発を行うチームを支援するのが主務です。そのためプロダクト開発のチームが抱える課題なども自主的に得る必要があります。
そのため、今期は各チームにヒアリングして回ったり、誰も参加可能な雑談時間を設けたりして情報を自主的に得る取り組みを行いました。
この取り組みはかなり効果がありました。私たちチームメンバーだけでは見えていなかった課題などを見つけることができました。
これは自主性がもたらした大きな成果だと感じています。
チームが自主性に気づいていなければ、このような成果は得られなかったと思います。
少しティール組織全体の話からは逸れてしまいましたが、ティール組織の成分みたいなものはチームや会社に存在していると感じています。
ティール組織は3つのブレークスルーがあると前述しましたが、今回は「セルフマネジメント」や「自主性」が私たちが今最も必要としていたことかもしれないと思い焦点を当てて書きました。
だいぶ話が飛んでしまった...
『[イラスト解説]ティール組織』、読みやすく面白かったのでオススメです。