GWは実家に帰省していました。同様に帰省していた弟が『THE TEAM 5つの法則』という本を持ってきていました。書店でも見かけたことがある表紙だったのでパラパラと読み始めると面白かったので一気に全部読んでしまいました。
『THE TEAM 5つの法則』
— shisama / Masashi Hirano (@shisama_) 2019年5月1日
目標設定、人員設定、意思疎通、意思決定、共感創造、の5つの「チームの法則」を体系的に理解できるようになっている。https://t.co/DwIqpZRlMU pic.twitter.com/hobUZyjWfE
この本はよく言われる「良いチーム」への誤解を主張するところから始まります。
例えば「目標を確実に達成するのが良いチームだ」「チームはコミュニケーションが多ければ多い方が良い」「みんなで話し合って決めるのが良いチームだ」といった当たり前のように良いと思われていることに対して、実は時にチームが十分にパフォーマンスを出せない原因になり得ると主張しています。著者は「チームの法則」を用いることで、こういった誰もが持つ誤った認識を解消し、本来あるべきチームの姿をつくることができると主張しています。
その法則は「5つの法則」に分類することができます。
これら本書はこの5つの法則が章ごとに分かれて構成されています。気になる章だけ読んでも完結するようになっています。
また、各章は「法則」「具体的事例」「チェックリスト」「学術的背景」で構成されており、好きなところから好きなところだけ読んでもいいようになっています。 このエントリでは本書のチェックリストをベースに読書メモを書き残しておきたいと思います。自分が後からチェックするのに使うためにこのブログに残しておきますが、このエントリを読んでくださっている方も読んでて気になるところがあれば気になった章だけでも本書を読むことをおすすめします。
Aim(目標設定)
チェックリスト
チームの活動の意義が明確になっているか?
チームの創出すべき成果が明確になっているか?
チームは推奨している行動が明確になっているか?
チームではかつどうの意義と創出すべき成果、推奨している行動が適切に接続されているか?
チームが活動する意義、創出すべき成果、推奨されている行動を日常的に意識できているか?
メモ
チームのパフォーマンスは目標設定によって決まります。適切でない目標が設定されているとすべてが台無しになることもあります。
目標設定には3つのレベルがあります。
行動レベルの目標設定
成果レベルの目標設定
意義レベルの目標設定
意義レベルの目標設定では最終的に実現したい抽象的な状態や影響を示したものです。意義レベルの目標にはチームのパフォーマンスにブレークスルーを起こす力があります。
昔は行動レベル、成果レベルの目標が重視されてきましたが、時代とともに意義レベルの目標が重視されるようになってきました。意義レベルの目標設定にはGoogleやメルカリなどが導入しているOKRを使うことができます。
チームが何のために存在し、すべてのメンバーが意義目標を意識し、自発的に行動し成果をあげることが求められるようになってきています。
Boarding(人員選定)
チェックリスト
チームの活動の特徴を語られるか?
チームのメンバーには適切な多様性があるか?
チームには適切な流動性があるか?
チームに必要なメンバーの特徴を理解しているか?
チームのメンバー集めやメンバー選びに貢献しているか?
メモ
環境の変化度合いや人材の連携度合いによってチームの特徴は変わります。チームにとって必要な人材を選定する前にチームの特徴を把握することが大切です。
チームが置かれた状況に応じて多様なメンバーを集めるか均質なメンバーを集めるか変わります。どちらかに偏っている場合は採用基準を見直す必要があるのではないでしょうか。同じく状況に応じては固定のメンバーよりもメンバーに流動性がある方が良いときもあります。ビジネスの環境変化が速い今日では必要なときに必要なメンバーを選定できるようにしている組織であったほうがいいと言えるでしょう。
Communication(意思疎通)
チェックリスト
チームはルールを明確化できているか?
チームはメンバー同士がお互いの過去や特徴を理解するような機会を持てているか?
チームは問題やアイデアメンバーが安心して共有できる雰囲気をつくれているか?
チームメンバーの過去や特徴を踏まえたコミュニケーションを取れているか?
チームメンバーに恐れや迷いなく自分が感じる問題やアイデアを発信できているか?
メモ
適切な緻密さを保ったルールを決めることでコミュニケーションコストを少なくすることができます。逆に過度なルールはコミュニケーションコストを増やします。コミュニケーションは多ければ多いほど良いチームであればルールを再設定したほうがよいです。無駄なコミュニケーションを減らして効率化する一方で、「お互いを理解するコミュニケーション」や「安心して意見が言える場づくり」は大切にする必要があります。心理的安全と相互理解に基づくコミュニケーションによってチームメンバー間の連携が取れて相乗効果を発揮することができます。
Decision(意思決定)
チェックリスト
チームは状況に応じて最適な意思決定方法を選択できているか?
チームはスピーディーに再現性のある議論ができているか?
チームは意思決定者が孤独を恐れず決断できているか?
リーダーの意思決定を自らの手で正解にすべく活動ができているか?
決断が必要なタイミングで「強く」「速く」意思決定ができているか?
メモ
まず、どのような方法で意思決定するか意思決定する必要があります。チームの意思決定には「独裁」「多数決」「合議」の3つがあります。状況に応じてスピーディーに意思決定する必要がある場合は全員で決めるより誰かが一人で決めるほうが良い場合もある。合議は時間がかかるのでスピーディーに意思決定するためには選択肢を用意します。まず選択肢を決める基準を決め、選択肢の優先順位を決めます。最後に優先順位に合致する選択肢を選択することで素早く意思決定できます。
「5秒で考えた手」と「30分かけて考えた手」は86%が同じ手なので5秒以内に打った方が良いというファーストチェス理論という考え方があります。これに基づくことでとにかく速く意思決定ができます。ソフトバンクの孫さんが実践しているそうです。
合議による意思決定に時間がかかる場合は独裁も必要です。そとのときに大切なことは意思決定者が反対や孤独を恐れずに決めること、しかしメンバーは意思決定者を孤独にしないことです。
「専門性」「返報性」「魅了性」「厳格性」「一貫性」を有したメンバーを意思決定者にすると意思決定の成功確率が上がります。
Engagement(共感創造)
チェックリスト
チームでは金銭報酬や地位報酬だけでなく感情報酬がメンバーに提供されているか?
チームではメンバーに何に共感してもらうかが明確になっているか?
チームにはメンバーがチームの魅力を感じる仕組みが埋め込まれているか?
自分が何を求めてチームに参加しているかを明確にできているか?
チームがメンバーの共感を生み出すことに貢献できているか?
メモ
すべてのメンバーがモチベーションに左右されるというのはすべてのチームにあてはまることです。モチベーションを高めるために4つのPがある。
Philosophy(理念・方針)
Profession(活動・成長)
People(人材・風土)
Privilege(待遇・特権)
4つのPすべてを提供することは難しいのでどれかに注力する。例えば、マッキンゼーはProfession、リクルートはあPeople、ディズニーはPhilosophyの魅力で束ねています。社内だけでなく社外にも魅力が伝わることで応募者とのミスマッチ防止にも繋がります。
今回は『THE TEAM 5つの法則』のチェックリストと読書メモを紹介しました。
チームのパフォーマンスに悩んでいる方や他の本で良いとされている方法がうまくいかない方におすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。不備や質問はブコメやTwitterまでお願いします。
THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)
- 作者:麻野 耕司
- 発売日: 2019/04/03
- メディア: 単行本